痛いところだけを見ない、ということ
- 将信 板井

- 6 日前
- 読了時間: 3分
肩がつらいとき、つい肩だけを見たくなります。腰が重いとき、腰だけが悪いように感じることがあります。
もちろん、つらさが出ている場所を丁寧に見ることは大切です。けれど体は、ひとつの場所だけで動いているわけではありません。
肩のこわばりに、背中や腕の使い方が関係していることがあります。腰の重さに、お尻まわりのこわばりや、足元の使い方が関係していることがあります。首のつらさに、肩甲骨まわりや背中の動きにくさが関係していることもあります。
痛みや重さが出ている場所は、体の中で負担が集まりやすくなっている場所かもしれません。でも、その場所だけが原因とは限りません。
体は、ひとつのつながりの中で動いています。
たとえば「腰」という字は、肉づきに「要(かなめ)」と書きます。要という字には、大切なところ、中心になるところという意味があります。
腰は、上半身を支える土台であり、下半身の動きとも深く関わる場所です。立つ、歩く、座る、振り向く。日常の何気ない動きの中でも、腰は体全体のつながりの中で働いています。
腰というと、背中側を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど腰の前には、お腹があります。腰が動くとき、お腹まわりのやわらかさも関係しています。
だから腰を見るときは、腰そのものだけでなく、お尻、股関節、足元、そしてお腹まわりとのつながりも大切に見ていきます。
ここで、体を向日葵(ひまわり)の鉢植えにたとえてみます。
向日葵の鉢植えでいえば、全体の土台になる鉢。体でいえば、それが腰にあたります。
背骨は、そこから伸びる茎。肩から腕は、茎から広がる葉や枝のようなものです。そして首の上には、向日葵の花のように頭があります。
鉢が少し傾けば、茎も葉も自然と傾きます。けれど人の体では、頭だけはできるだけ水平を保とうとします。
私たちの体には、目や耳の奥にある平衡感覚があり、頭が大きく傾いたままにならないように、無意識にバランスを取っています。
そのため、腰という土台が少し傾いていても、頭はまっすぐ保とうとします。すると、その間にある背骨、首、肩、背中は、どこかで帳尻を合わせるように働きます。
この「帳尻を合わせている状態」が、体の歪みとして現れることがあります。
歪みというと、悪いもののように感じるかもしれません。けれど見方を変えると、体が倒れないように、頭をまっすぐ保とうとして、なんとかバランスを取ってくれている状態とも言えます。
だから、痛みや重さが出ている場所だけを見るのではなく、その場所がなぜ頑張らなくてはいけなくなっているのかを見ていくことが大切です。
なごみ鍼灸治療院では、つらさのある場所だけに目を向けるのではなく、体全体のつながりを見ながら施術を行っています。
腰という土台。背骨や肩甲骨の動き。お尻まわりや足元の使い方。そして、日々の姿勢や体の癖。
そうした一つひとつを見ながら、どこに負担が集まり、どこで体が帳尻を合わせているのかを見ていきます。
鍼やお灸は、痛い場所だけに何かをするためのものではありません。体のこわばりをゆるめ、動きにくくなっている場所に働きかけることで、全体のバランスが整いやすい状態を目指していきます。
痛いところだけを見ない、というのは、体全体のつながりの中で、負担が集まっている理由を見ていくということです。
その方の体が、少しでも無理なく動けるように。なごみ鍼灸治療院では、そんな視点を大切にしています。
コメント